国立精神神経医療研究センター病院 埜中征哉先生

NPPVとは

人工呼吸療法のひとつで、気管内挿管や気管切開をせずに、鼻マスクや鼻プラグといったインターフェースを使用するもので

「非侵襲的陽圧人工呼吸療法」とも呼ばれています。気管内挿管や気管切開を回避できることによって、以下のようなメリットがあり、

筋ジストロフィー等の人たちのQOR(生活の質)が飛躍的に改善されています。

・気管内挿管や気管切開のように痛みや精神的な不安がないことと、声を出せるので特別な手段は必要なく、会話ができます。

・チューブやカニューレが必要ないため、体位交換やベッドから車椅子への移乗などのリスクが軽減され、人工呼吸器を車椅子に搭載することで行動範囲が広がります。

・経口摂取が可能で、食事をとることができます。

・チューブやカニューレからの吸引の必要が無く、通学や通勤の問題となる吸引ができる有資格者や家族の付添う必要がない。

・気管内挿管や気管切開チューブ留置による感染症の心配がない。


デメリットを克服するための呼吸ケア

NPPVにもデメリットがありますが、これは適切な設備が整った病院施設。正しい知識と技術を持った医師と看護師。

理学療法士といった経験のある医療チームの呼吸ケアによって克服することができます。

経験ある呼吸器サポートチーム(RST)がこれを実践しており、入院患者はもちろん、全国各地の在宅患者のQOR(生活の質)も向上しています。

しかし、NPPVによる呼吸ケアを実践できるチームをもった病院施設はどれだけあるんだろうか、数えるほどしかなく、著しい地域格差があると思います。また、日本がいままで経験したことのない少子高齢化社会の中で、筋ジストロフィーをはじめ神経・筋疾患を取り巻く療養生活環境の低下の噂が絶えません。

この危機的な状況を乗り越え、全国各地で安定したNPPVによる呼吸ケアが受けられる体制を作り、私たちが安心して地域で暮らせる社会にするためには、当事者である患者と家族が正しい情報と知識を積極的に共有して、声を出すことが必要です。