元厚生労働副大臣 元衆議院議員 赤松正雄

厚生労働副大臣をしていた一年間だけは異彩を放つ時間が流れていたように思われる。

治療が難しいとされる病に悩む人々からなんとか事態打開に向けての対応をして欲しいとの要望を寄せられた。

実情を知り最大の矛盾を感じたのが難病指定の有様だった。

行政や医療現場では「特定疾患」と言うが現在の時点では56疾患が患者の医療費負担軽減を図る目的で、

都道府県が実施主体となって治療研究事業が行われており、それ以外の疾患はその対象ではない。

つまり56の中に入っていない疾患の患者さんたちは、政治的には見捨てられていると言っても過言ではない。

予算の総額が抑えられているために、新たに一つの難病を加えるには、一つを外さねばならない。

例えば、安倍総理が患者であることから有名になった「潰瘍性大腸炎」をリストから外して、

違うものを新たに入れようとする動きがあった。私はこれに同調しようとしたのだが、強烈な反発に出逢った。

既得権益を奪うことになることから、私の所属する公明党から強い圧力がかかったのだ。

厚生省の仕事から離れて暫くたった頃に、重い筋ジストロフィーに悩まされる蔭山武史さんと知り合った。

3,4年前に神戸市北区のご自宅を訪れ、ご両親からその時までの壮絶な闘いの歴史をお聴きした。

この病はなぜか特定疾患に指定されていない。治療費助成がなされず、支援を受けることも出来ない。

ところが、さる5月23日に「難病医療法」「改正児童福祉法」の関連二法が成立して事態が大きく変わることになった。

消費税増税分を財源とすることで可能になったのである。対象となる難病は従来の56(患者数約78万人)から約300疾病(同150万人)と大幅に拡大する見込みという。

蔭山武史さんの「難病飛行」という本の出版や「NPO法人もみの木」を通じての筋ジストロフィーや

NPPV(鼻マスク)に関する情報発信を眼にするにつけほとほと感心する。

彼の「私は大勢の方々に支えられてみなさんに感謝しています。それにこの病気と闘っているのは私だけではなく大勢の仲間がいるので心強いです。

太く短く一歩ずつ後悔のないよう生きていきたい」との言葉が私の胸に迫ってくる。人生途上の苦難に負けずに、生きて生きて生き抜きたい。